【緊急特別号】コロナで予期せぬ売上急減。この時レジャー用品店が最優先したことは?

2020年5月23日

小売業

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2020/05/23

質問

感染症の拡大で売上が急減し、手元資金が大きく目減りしているレジャー用品の小売店。あなたが経営者なら次のうちどれを最優先で実施しますか?

パターン1

計画中の新規出店の実行を最優先する。

パターン2

資金繰りに目処を付けることを最優先する。

パターン3

値下げや広告宣伝をして販売を促進することを最優先する。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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7店舗を構えるまでになったレジャー用品店

「レジャー用品ミロク」は今年で創業7年目を迎えたレジャー用品の小売店で、都内で7店舗を構えるまでになりました。

しかし、ここまでの道のりは決して順調ではありませんでした。2年前、来店客の急減に見舞われ、窮地にあったのです。

2年前 ~非常事態発生

レジャー用品ミロクは創業5年目で、創業以来順調に店舗を増やし、都内で5店舗を構えるまでに成長していました。

ところが2年前、世界的に感染症が拡大する中、我が国でも政府や都道府県から不要不急の外出は自粛するよう要請が出されました。これに伴いレジャー用品も売れなくなり、一気に7割もの売上急減に見舞われてしまったのです。

順調に売上が上がっていた頃は全く心配がなかった資金繰りも、この非常事態の発生で急速に悪化し、手元資金が大きく目減りしていました。先が見えない非常事態を前に、社長は茫然とし、どこから手を付けたら良いのか悩んだまま日数が経過していました。

質問

感染症の拡大で売上が急減し、手元資金が大きく目減りしているレジャー用品の小売店。あなたが経営者なら次のうちどれを最優先で実施しますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

計画中の新規出店の実行を最優先する。

パターン2

資金繰りに目処を付けることを最優先する。

パターン3

値下げや広告宣伝をして販売を促進することを最優先する。

計画中の新規出店があるのであれば、それも対処すべき課題でしょう。ただし、非常事態が発生している状況では、新規出店を実行する以前に、出店を進めるのか否かを含めて再検討することも必要ですし、手元資金が大きく目減りしている状況ではもっと優先すべきことがありそうです。

レジャー用品ミロクが優先したのは、資金繰りに目処を付けることでした。具体的に何をしたかというと……

 

売上が急減している非常事態ですから、販売促進策を考えることは重要です。しかし、今回の状況は値下げや広告宣伝が販売促進につながるかは疑問です。何より、手元資金が大きく目減りしている状況ではもっと優先すべきことがありそうです。

この非常事態に最優先ですべきこと

レジャー用品ミロクの社長が悩んでいたところ、経営者仲間からあるコンサルタントの先生のアドバイスを受けてとても助かっているという話を聞きました。そして、その先生に相談に乗ってもらえることになったのです。

先生 御社は今、言ってみれば大量に出血し続けていて、このまま出血が続いたら危ない状態です
社長 あとどれくらい持つのか……
先生 出血量、つまり月々の資金流出額をつかまなければなりません
社長 でもどうやったら……
先生 まずは、感染症拡大という非常事態が始まる直前からの資金繰り実績表を作成してみましょう
社長 資金繰り実績表ですか……。これまでは資金繰りに心配がなかったので、作ってないんです
先生 現金預金の出納帳なんかを使って、仕入代金の支払いとか給料の支払いなど、月々の支出額を項目ごとにつかむんです。これができれば、仮に今のままのペースで推移した場合の月々の支出額が予測できます
社長 なるほど
先生 あと、今後の月次の収入予測も出してください
社長 売上は従来の3割まで激減しているので、月々の収入はだいぶ少なくなります

レジャー用品ミロクでは、資金繰り表は作成していなかったものの、日頃から会計システムを使用していたことで、前期実績との比較や月次損益推移の把握はできるようになっていました。検討を進めていった結果、現状のままのペースで推移した場合の月次の資金流出額が分かりました。

先生 現在、御社の資金残高はこれくらいですよね。月々の資金流出額がこれくらいですから、単純計算で今の御社の資金残高はあと3カ月で底をついてしまいます。この資金流出額をできる限り抑えなければいけません

非常事態発生の混乱の中で、この時のレジャー用品ミロクでは、収入が激減する一方で、支出の抑制が進んでいませんでした。

既に発注していたものなどもあったため、売上減少に合わせて直ちに仕入を減らすことができず、しばらくの間、仕入はそれほど変わらずに推移していたのです。このままでは、資金繰りに致命的な打撃を与えかねません。そこで、仕入は売上の下落率7割に比例して絞り、下落後の売上見通しに基づいた水準に応じて発注するように仕組みを切り替えました。アルバイトの人件費については、アルバイトの方々とよく話し合った上で、来店客数の下降状況に合わせてシフトを臨機応変に絞り込む調整を行いました。

ただし、こうしたオペレーションの緊縮化を図るだけでは月々の資金流出を抑えきれない部分もありました。助成金制度の活用、納税・保険料の猶予制度等の活用、賃借料の繰り延べや減免の交渉、銀行との融資交渉などにも着手しました。それだけでなく、これを機に成績の芳しくない店舗については閉店するか否かの検討も進めることにしました。会計システムで店舗別損益の把握ができるようになっていたため、このときの検討にとても役立ちました。

この緊急時に何から手を付けたらいいか悩んでいたレジャー用品ミロクの社長でしたが、こうした緊急時の対応をしたことで、この非常事態を何とか切り抜けることができたのでした。
 

ワンポイント解説

「資金繰り表」

資金繰りとは、資金の調達や運用など資金のやりくりのことを言います。資金繰りをする上では、資金繰りの実績をつかむことと、資金繰りの予定をすることが重要になります。今後の収入や支出などを踏まえ資金繰りの予定を立て、資金が足りなくなりそうなら、それに備えて借入れを行ったり、支出を抑えたりといった対策を検討します。
関連リンク資金繰り表に興味のある方は、コチラもご覧ください。
MJSシステム(財務大将)

<MJSシステム(財務大将)の資金繰り予定表>
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